モロッコ旅行に行った際のブログです。今回は、6日目について。
サハラ砂漠で朝焼けを見た後、カスバ街道沿いに横断した日のことを書いていきます。
カスバで暮らす人に触れ、モロッコ人や日本での自分に関する考え方が少し変わってきました。
モロッコ旅行6日目 メルズーガ→トドラ渓谷→アイトベンハッドゥ
この日新たに訪れるスポットはトドラ渓谷くらい。
日本ではありえない移動×移動×移動。ですが景色がダイナミックすぎて、もちろん飽きることはありませんでした。
7:30 砂漠でサンライズ
相方が一番楽しみにしていた、砂漠でのサンライズ。
キャンプから徒歩で砂丘の高台に登るため、朝食前から少しハードな散歩です。
砂で足場が埋もれるほどの傾斜を徒歩で上ります。2月の砂漠の朝は、意外と冷え込まない印象。AM8:00、東の方から、徐々に太陽が昇ってきました...
太陽と砂と風しかない。アザーンの音も、この日ばかりは聞こえない。ラクダもじっと、夜があけるのを待ちます。
思わずこの広さと、普段仕事をしているフロアがいかに小さいかを比べてしまいました。日本人はあまりにも会社という世界しか知らないんじゃないか?そんな気分。
9:00 ラクダにのって町に戻ろう
朝食後、お世話になったキャンプを去ります。
きたときと同じく、ラクダに乗ってふもとの村まで小一時間の移動。ありがとうラクダ!ありがとうサハラ!
10:00 カスバ街道(メルズーガ→トドラ渓谷)
砂漠から約4時間かけて、トドラ渓谷に向かいます。
あれだけ広かった砂漠も、少し車を走らせるとあっという間に見えなくなりました。
しばらくして、日干し煉瓦の家々や廃墟のような建物ばかりが目立つように。ここからがカスバ街道。今までのシャウエンやフェズとも、景色が全然違って驚きます。
モハメドさんによると、
その昔、モロッコは砂漠の民であるベルベル人が全土を統治していたが、東からやってきたアラブ人に侵略されるようになった。争いを好まないベルベル人はアトラス山脈を越えて南に逃げ、作り上げたのがカスバ(要塞)。街道沿いには古いカスバもあり、まだ人が住んでいる地域もある。
とのこと...
途中のフォトスポットでおろしてもらいました(おそらくティネリール)。古いカスバが一番よく見える場所とのことです。
ここで地元の子供たちが、ヤシの葉で作ったラクダの網細工をもって、ワラワラと寄ってきました。「フォーユー」「プレゼント」とかなり慣れた様子。
おそらく彼らはツーリストがよく車から降りる場所を把握している感じです。あまり深入りしない方がいいかな...と思い、いったん何もせず退散。
その少し先でおろしてもらったフォトスポットでも同じような子供たちの姿が。
「イッツフリー、ノーマネー」。
作ったのに誰にも受け取ってもらえなくて残っているのかな?と思い、さっき無視した罪悪感もあり受け取ったのですが、やはり何か欲しそうです。お礼に持っていた飴をあげると、ほかの子供が一気に寄ってきました。一人が強引に網細工を押し付けてきて、その流れで全員に飴をあげることに...
その必死さに、少し恐怖すら感じました。全員元気がなく、目が死んでいる感じ。
車に乗った後、仕方がなさそうな感じで、「モロッコの“イッツフリー”はお金が要る」とモハメドさん。深い意味はなかったかもしれませんが、なぜか気分が落ち込み考えさせられました。
この辺りに住んでいる子供たちは決して裕福な家庭ではない。
家のお金が少ないからこそ、自分たちでああして小銭を稼いでいる。
フェズの青年やタンネリの職人たちだって同じ。
私たちからは煙たく映っているが、ああやらざるを得ない理由がきっとある。
ガイドブックには決して載っていない、モロッコの闇を垣間見た気がしました。
14:00 トドラ渓谷で昼食
トドラ渓谷といっても少し手前なのですが、遅めの昼食。ツーリスト向けのレストランのようなところ。
ここのハリラは山芋のようなとろみがあり、一番印象的でした!ベルベルオムレツがおいしい...
案内してもらったのもテラス席で気持ちよかった!こちら、レストランからの景色。
ちなみにこの近くに、のりこさんという日本人の方が営んでいる宿があるらしいです。
15:00 トドラ渓谷
ほどなくしてトドラ渓谷に到着。
両手のすぐそばの断崖絶壁。実際にその場に立つと圧巻。文明の手が入っていない自然がそのまま残っています。
裾にはきれいな川が流れていて、とても気持ちいい空間です。川ではジプシーの家族も休憩をしていました。
日本のツーリストと思しき女性が、「なんかついてくるんだけどー」とジプシーの子供から逃げていました。見るに、その子供の写真を撮ってその応酬を求められている様子。
こちらの何気ない行動が、あらぬ期待をさせてしまう...さっきの私たちのようで、見ていて何かもやっとするものが残りました。
17:00 エル・ケアラ・ムグナ
アイトベンハッドゥ手前のエル・ケアラ・ムグナはバラの栽培で有名。別名「バラの谷」「ローズの谷」などとも呼ばれています。町中のモニュメントもしっかりバラ。
フランスの某高級ブランドも、毎年ここにローズエキスを仕入れに来るんだとか。
専売所で降ろしてもらい、せっかくなのでローズウォーター・ボディクリーム・石鹸を380DHで購入。
日本人の観光ルートではおなじみらしく、看板には素朴なフォントの日本語で「ローズエキス」の文字が書いてありました。笑
19:30 ワルザザード
実はモロッコは映画産業が盛んな国。
大きなスタジオのあるここワルザザードは、町のモニュメントも映画のカチンコ。
少しおろしてもらった映画ミュージアム。外観だけ撮影。
ワルザザードは特別大きくはないもののどこか近代的な感じがして、機会があったらゆっくり歩いたり食事したりしたかったなぁ。
※余談ですが、フェズのChez Thami'sのお兄さんが話していたワダマヤさんは、モロッコ旅行専門の日本企業「クスールボヤージュ」の代表の方で、ここワルザザードに社を構えているのだと後で知りました。
20:00 リヤド RIAD MAKTOUB着
あたりがすっかり暗くなったころにアイトベンハッドゥに到着。
リヤドの方はカジュアルなスーツ姿で決めていてダンディ。
夕食はタジンかミートソースのパスタを選べました。私の身体には、毎日タジン(+肉の塊)攻めはきついようです。パスタがうまい...
本日のリヤドは今回泊まった中でも一番心地が良く、これまた一瞬で眠れました。
メルズーガ・カスバ街道 個人的感想・備忘録
この旅、砂漠やカスバの世界を通して初めて、日本で一番激務だったころの働き方を振り返ってしまいました。
クライアントの対応や上司への気遣いで精神消耗して、それがたかだか数十平米の空間内で1日の主な時間が完結していたこと、相手の幸せや自分の正義を全部通り越して、利益や企業文化優先の会社本位の価値観につぶされそうになりながら働いていたこと。。
砂漠はその空間の何万倍も広いし、カスバの村では利益主義とは程遠い次元で、毎日を1日1日営んでいる人がいる。
もっと自分の本心や心の軸みたいなものに目を向けて生きてもいいのかな、と思わされました。
今のこと、これからのことを考えると、生活を全部中断して世界一周とかできそうにないけど、それをする人がこんな気持ちから始まるのであれば、その心情の過程が分かった気がします。
次のブログでは、世界遺産アイトベンハッドゥをめぐり、再度アトラスを越えてマラケシュに至るまでをお伝えします▼▼▼
【アイトベンハッドゥでお世話になったホテル】
RIAD MAKTOUB
広いしベッドの質もいいし、お部屋の設備はリヤドの中では快適な方だと思います。
中庭を囲む部屋は、番号制ではなく砂漠周辺の村の固有名詞。素敵。この旅でバスタブがあった唯一のお宿でした。