5月の「The Final」に引き続き、先日「るろうに剣心最終章The Beginning」を鑑賞してきました。
Finalに比べて、じっくりしっぽり、"魅せる"時代劇を感じられる作品だった本作。
今までの「敵ありき」のストーリーとは全く別物の異色の世界観で、映画「るろ剣」シリーズのラストを締めるに相応しい位置づけだったように思う。
見終わった後の高揚感だけで言うと、正直Finalの方が強かったです。
しかしシリーズの結末としてすべてを総括してくれるような、素晴らしいラストでした。
鑑賞してから少し日が経っているので感想の勢いは鈍ってますが、対の片方に何もナシ...というのも気持ち悪い。
というわけで、Beginning鑑賞の感想を書いちゃうよ。
相変わらず健君のまとう空気感は剣心そのものだったよーTT
本格時代劇とヒューマンドラマのお話
「The Finalではアクションを、The Beginningではドラマを...」
の趣旨のことを佐藤健君が言っておりましたが、まさにその通り。
今までのるろ剣は倒すべき相手が明確に存在する分、勧善懲悪のアクション映画という印象でした。(縁は敵とはまたちょっと違う感じだとは思いますが...)
今回は剣心が生きた幕末の様子や、何気ない日常の様子が粛々と描かれている時代劇。
いい意味で派手な見どころもなく、終始淡々とストーリーが進んでいき、今までの作品と全く違うテンションが感じられました。
作風が違いすぎて完全に別世界なので、鑑賞するときは別物と心得てみるべき。笑
殺人シーンや血の演出が容赦ない
とはいえアクションシーンは健在で、冒頭の結構な殺陣のシーンでは血しぶきの描写が容赦ない。
当たり前ですが、今までの作品で剣心が振るってきたのは逆刃刀。切れません。笑
今回、なーんか血量多いなえぐいな。。って思ってたら、それもそのはず、今作は剣心=抜刀斎でがっつり切れちゃう刀だもんね。。
私は時代劇はあまり得意ではありませんが、これほど人が斬られるシーンの演出に遠慮ない映画も珍しいんじゃないかと思います。
京都編でも結構残酷なシーン多かった。ちょっとトラウマレベル。
もちろん日常でそんな場面に立ち会わない(というか立ち合いたくない)ので、私が感じる"リアル"もどの程度なのかはわかりません^^;
しかし「人が死ぬ」というショッキングな1コマも真摯に表現されていて、作り手側の本気を感じました。。
実力派俳優ぞろいで役者の顔ぶれが楽しい!
Beginningは剣心がるろうにになる前の時代の話なので、過去の話になります。よって、今までの作品のレギュラーメンバーが出てこない。
先ほどから書いているように過去シリーズと全く別の話になる分、登場人物も初見の人が多いのだけれど、それらを演じる役者陣のまぁ豪華なこと!!
話題の所で言うと、桂小五郎演じる高橋一生さんはじめ高杉晋作役の安藤政信さんなど。高橋一生の落ち着きと安藤政信の荒々しさたるや。まさに適役...!!
そして、結果的に抜刀斎を裏切る形になる長州藩士の飯塚役には、大西信満さん!
良く存じ上げないものの何かしら話題作(衝撃作という意味で)には出ている俳優さん、、というイメージがあって、スクリーンで認識した瞬間「あっ!」て思いました。
がっつり目立ちに来るわけではないのに(失礼)、大事なところでしれっと印象残していって「あ、この人...」という余韻を感じさせる存在感はさすが。
個人的には、新選組の土方歳三役に和田聰宏さんが出ているのがちょっと嬉しかった。
ちなみにパンフレットでは、大西さんをキャスティングした意図として上記のようなことがまんま書かれていました。しっかりやられたぜ...!!
一番苦労したのは、きっと有村架純ちゃん
そんなBeginning独自の演者として最も注目されているであろう人が、雪代巴役の有村架純ちゃん。
私の中で巴を演じるなら多部未華子ちゃん一択で、正直キャスティングが発表されたとき「ちょっと違うんじゃ...」と思いました。なんというか、架純ちゃんは健康的でかわいらしすぎている。巴はもっと幸薄で無表情が似合う人じゃないと(多部ちゃんに失礼)。
ちなみに縁=三浦春馬君で脳内イメージが完成されていた。春馬君&多部ちゃんカップルの姉弟愛が見たかったのよ...TT
でも多分、巴はファンの中でも特に思い入れのある独特のキャラクターすぎて、誰が演じても、皆どこか100%納得はできないんじゃないかと思う。
そしてそんな期待やプレッシャーも、架純ちゃん自身が感じてない訳がない。
ただでさえ難しいキャラクターだし、一歩間違えたら大ブーイング必至。今まで散々評価されているるろ剣シリーズの世界観を壊してはいけないし、重圧は計り知れないものだっただろうな。
最初「なんか違う」って思ってごめん。きっと本人が一番よくわかってる中で、批判も覚悟でこの役を受けてくれていなかったらとシリーズは完結しなかったと思う。
まじでまじでまじで、お疲れ様!!!って言いたい!!!
「Beginning」にして最強のシリーズ完結作
さてさて、シリーズものでは異例の「Beginning」、つまり序章をラストにもってきた今作。
通常だったら「Final」で締められるのがスタンダードなので、一体どんな結末になるのかな。。と思っていたら、いい意味でエンディング感はありませんでした。
ここから始まる、否、これがあったからこそ始まる。という余韻を残して、見た人の心を次へとつなぐ、まるでエンドレスループのような終わり方だった。
今回、「Final」と「Beginning」は対になっているわけだけれど、じゃあこれが「Final」で終わってよかったというと、それは絶対に違うと思う。
”剣心にはこんな過去がありましたよ→最後、対峙すべき縁に勝利しましたよ”
そんな終わり方だったら、きっと良くも悪くも普通の映画になっていただろうな。
全ての伏線を回収する、本当の最後にふさわしいシリーズラストでした。
9年かけて、やっと完結したるろうに剣心シリーズ。
当たり前のように書いているけれど、まさか小学生の頃に好きだったマンガが、時を経てこういった形で別の楽しみ方を享受できるなんて本当にすごいこと。
命を削って演じてくれた佐藤健君はもちろん、細かなところまで忠実に創りきってくれた演者・制作含めた表現者のみなさんに感謝、感謝!!!
小学生の私に、「今好きなものは実は大人になった時にこんな形でつながるんだよ」と教えてあげたいです。笑