2019年7月、日本の芸能史で「ジャニーズ」という1つのカテゴリを作り上げたジャニーさんことジャニー喜多川氏が永眠されました。
私は特にジャニーズファンという訳でもないのですが、
小学生の頃にはテレビをつけるとSMAP、TOKIO、V6、Kinki Kidsといったグループが当たり前のようにそこにいて、
タッキー改め現滝沢社長率いる、ジャニーズJr.軍団の全盛期にアイドル(というかかっこいい年上のお兄ちゃん)に興味を持ちだす年齢を迎え、
そこから嵐、関ジャニ∞、NEWSなどのメンバーが輩出されたのを目の当たりにし、
彼らの活躍とともに年を重ねてきた世代なので、「私の辞書に“ジャニーズ”なんて言葉はございません!」というとウソになる。
この本の存在を知ったのはジャニーさんの訃報が流れたとき、ヤフーニュースでたまたま発売前の告知として挙がってきたからなのですが、目次と軽いリード、本書の趣旨をみて、絶対読もうと心に決めました。
これはその感想です。すごく面白い本で、一読の価値は大いにあったと思います。
ジャニーズは努力が9割
「努力が9割」のタイトルに見られるよう、多くのジャニーズタレントの中で特に“苦労人である”、“本人なりの信念がある”、著者が感じている人をピックアップし、その人物について説明する、というスタイルの本です。
著者:ジャニーズになれなかった男性ジャニーズヲタク
霜田明寛氏、1985年生まれ。
男性なのですがジャニヲタにして、自身も過去にジャニーズJr.のオーディションに挑戦しているというのですから驚きです。
女の私なんかより全然ジャニーズ愛があって、だからこそこの本を書けたんだろうなぁ、という方。
本の内容:15名のメンバーにフォーカスしたサクセスストーリー
今回の本でピックアップされたのは下記の15名。
中居正広(SMAP)、木村拓哉(SMAP)、長瀬智也(TOKIO)、国分太一(TOKIO)、岡田准一(V6)、井ノ原快彦(V6)、堂本剛(Kinki Kids)、堂本光一(Kinki Kids)、櫻井翔(嵐)、大野智(嵐)、滝沢秀明、風間俊介、村上信五(関ジャニ∞)、亀梨和也(KAT-TUN)、伊野尾慧(Hey!Sey!JUMP)、中島健人(Sexy Zone)
皆さん個性があって、司会業やキャスター、役者やアーティスト活動など、今やアイドル活動+αで活躍されているジャニタレの代表格です。
彼らがそんな現在の立ち位置をどのように築き上げてきたかや、不遇な時代をどのように過ごしてきたのかが本書には記載されています。
1人についての説明は読むのがしんどくなるほど長いものではなかったし、文章のタッチも軽いので、1日ほどあったらすらっと読める内容でした。
これを読んでジャニーズの見方が変わりました
やはりジャニーズは、単なるイケメン集団ではないですね。。
もちろんそれまでに、彼らに対してチャラいだの顔だけだの、偏見はもったことないですが、ここにいる彼らがいかに努力家で真面目かが、改めてよくわかる内容。
下記、特に印象に残ったメンバーの項です。
①中居正広・国分太一・井ノ原快彦・櫻井翔
芸能界っていったら雲の上の世界で、みんなからキャーキャー言われて、進むべき道を勝手に周りが敷いてくれていて、入ったらその波に乗ればいい世界だって、失礼ながら心のどこかで、そんな風に思っていた気がします。
ここに上げた4名は「司会」「キャスター」というフィールドで活躍されている方々。
特に中居くんなんてその第一人者のように思うけど、自分が担当する番組の前には、台本を暗記し、書き込みを入れ、一緒に仕事をする人のことは徹底的に調べ、その人の専門分野も調べ、新聞を読み、何度も打ち合わせをして...
という入念な準備を毎回していたとのこと。もちろん、他の3人然り苦労されたことは多いでしょう。
これ、私たち一般人の世界も同じですよね。
与えられたことに対して失礼のないように、誠実に、真面目に、準備する。芸能界でもそうでなくても、結果を残す人は同じことをしているんだなぁ、と実感。
私が幼いころはジャニーズが司会とか、全然見なかった気がします。そう考えると、今や多くのジャニタレが情報番組に出ている中、この4名の方が残した功績はかなり大きいと思う。
②堂本剛・大野智
この二人って、ジャニーズの中でも特にアーティスト志向が強い人だなぁって、昔から思っていました。歌うまいし、イラストやファッションなど得意とする領域があって、独特な雰囲気がなんか普通のアイドルと違うなぁって。
二人とも家族が勝手に履歴書を送ったことがきっかけで、自ら志してジャニーズに入ったわけではない人たちなんですよね。
自分の意志では何も抗えない環境に入ってしまって、でもやるべきことはやって、本当にやりたいことや現状に対して不本意な気持ちを押さえないといけない…
これ、一般企業に勤める大多数の人も似ている部分があるんじゃないかと思う。
流れるように就活して、自分が本当にやりたいのかもわからない仕事に就いて、 今まで自由にできていたことができなくなって、価値観もわからなくなって...
そんな中、剛と大野君はしんどい時期を越えながら1人の人間としての自分のカラーを貫き通してる。嵐の活動休止に踏み切った大野君なんてその権化ですよね(笑)
彼らも1人の人間と考えたら、大野君の気持ちもよくわかる。組織に属する葛藤や迷いが、きっとずっとあったんだろうなぁ。
③村上信五
もうこれは、完全に本の感想というか個人的な気持ちなのですが、この人と横山くん、すばるなくして後の関西のジャニーズ語れなくないですか?!
私は彼らがJr.時代のころ、タッキーを始めとした東京のJr.ばかりが注目されていて「なんだかなぁ」と、同じ関西人としてこの人たちのことを応援していました。
東京のテレビ出る度に爪跡残して、向こうのJr.にも臆さず突っ込んでいって、そんなヒナちゃんが今やマツコデラックスと張り合える司会者とな...
本書で本人は「ジャニーズのツッコミ」というポジションを狙った、と書いてあるのですが、そんなことより彼らの努力が実って本当によかった...
当時まだおこちゃまで遅くまで起きられず、関西Jr.のローカル深夜番組をビデオに撮ってみていたあの頃が懐かしい。
すばるも錦戸君もいなくなるけど、関ジャニ∞にはこのまま頑張ってほしいなぁ。
ジャニ好きもそうでない人も何かしら感じられる1冊
以上、私が読んでいて特に何かを感じたタレントをピックアップして感想(というか完全なる私見)を書かせていただきました。
15人もの異なるタイプの生き方が例に出されていると、誰かしら共感できる人っていると思います。
彼らが「ジャニーズだから」という枠を越えて、普通の人間と同じように悩んだり努力したりしてることが自分の姿と被れば、もっと身近に、案外自分たちと変わらないことが感じられて、何かしらの力になり得る1冊なんじゃないかな、と思うのです。
正直、伊野尾くん、中島くんあたりになると認識は危うかったですが…笑
意外にも最も印象に残った言葉はそんな伊野尾くんの項から。
「今までやってきた事、新しく始める事、何気ない事、最初はどれも関連性のない小さな点見たいな物かもしれないけど、続けることでそれぞれの点が段々大きくなって、重なるところが出てくるから。重なるところが、きっと個性になるから。」
自分がただ好きでやってることや認められていないことって無駄だと思いがちだけど、続けていたらいつか何かしらの形で先につながるかもしれない。
の意。
この言葉は、この著者が霜田さんだから余計に説得力がある。
昔からジャニヲタで、自分で勝手に情報を集めて執筆を進めていた中、本の完成間際にジャニーさんが亡くなって、絶妙のタイミング(って言ったら不謹慎だけど)で本を出版されるという運をつかんでらっしゃるのだから。
私もぼちぼち、頑張ろうっと。