以前に一度行ったことのある世界報道写真展。久しぶりの鑑賞です。
毎回、見終えた後に絶対と言っていいほど良い気分にはならないこちらの写真展。
でも、地球に生きている限り一度は見ておいた方がいいとも思うこちらの写真展。
今年は遅ればせながら立命館大学衣笠キャンパスにて参戦してきました。一凡人ですが、行った感想や感じたことをまとめておきたいと思います。
「世界報道写真展」とは?
その名の通り、報道写真やドキュメンタリー写真をメインとした写真展。
毎年、東京・大阪・京都・滋賀・大分の5都市を巡回しています。
発足はオランダのアムステルダムにある世界報道写真財団によるものですが、日本でも何年も前から開催されているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
展示物は、毎年開かれる「世界報道写真展コンテスト」にて、前年に撮影された世界情勢を伝えるにあたって優秀な作品が選出されます。
そしてそれが「世界報道写真展」の作品として展示されています。
写真はスプートニクより。世界報道写真大賞(単写真の部)の作品。メキシコからアメリカへの亡命中、国境越えの際に母親の取り調べ中に泣きわめく子供。
要は、ただの写真展ではなく、これを見たら今の世界が抱えている問題や各国で起こっている出来事がわかるってことですね。
しかも、チケットは500円!ワンコインでこんな、「写真」というわやりやすいツールを通して社会勉強ができてしまうんです。
これが「文章」とかだったら、きっと苦痛に感じることもありますもんね...
世界報道写真展で見られる作品たち
報道写真といっても、ジャンルは様々。
ここでは下記の8つにカテゴライズされた作品を見ることができます。
- 現代社会の問題 → 風習、差別、ハラスメント、難民問題、人道問題など
- 一般ニュース → 各国のトピックス(外交、選挙、災害、流行病など)
- 環境 → 災害、環境汚染など
- 長期取材 → 軍事、貧困など1つの問題を長期にわたって取材したもの
- 自然 → 動物虐待、動物保護、絶滅危惧種問題など
- スポットニュース → 紛争、暴動、事故、殺人など
- スポーツ → 伝統競技、パラ選手、記録、スポーツにおける女性差別など
- ポートレート → 風習、文化、LGBTなど
先ほどの画像の泣きわめく子供は、スポットニュースの作品です。
基本的にはジャーナリズム・ヒューマニズムに基づいている報道写真のため、あまり明るい嬉々とした写真はありません。
どちらかというと考えさせられるというか、重たい写真が多いかも。
ですが、これだけジャンル分けされた様々な問題を国内で一気に見られるなんて、やっぱり貴重です。
世界報道写真展をおすすめする理由
とにかく、多くの方に見ていただきたいこちらの写真展。簡単ですが、オススメしたい理由はこちらです。
①合計45作品!多くの「世界」が見られる
まずは、多方面における世界の1コマを見ることができるということ。
先ほど8つのジャンルに分かれていると書きましたが、各ジャンルごとに2種類の作品が選出されています。
・「単写真」と呼ばれる1枚勝負の作品
・「組写真」と呼ばれる複数枚で構成された作品
この2つにおいて1位・2位・3位に選出された作品が展示されています。
「長期取材」の作品はすべて組写真になるので、
7ジャンル × 2種(単or組) × 3順位 + 長期取材 × 3順位 = 45作品
と、非常に多くの作品を見ることができます。
組写真は1つの作品につき5~10枚で構成されていることが多いので、写真枚数でいうと45枚よりもっと多くの枚数が見れてしまいますね!
②世界的にハイクオリティな作品を見ることができる
当たり前ですが展示の写真はめちゃくちゃ上手。
単純に1枚の絵として楽しむ(と言っていいのかはわからないけど)ことができます。
こちらの写真展に展示する作品を選ぶコンテストにおいて、応募者は基本的に世界で活動しているプロのフォトグラファやカメラマンです。
そんな人たちが撮ったものの中から選ばれた優秀作品の終結なので、前提として写真が素晴らしいのは当然と言えば当然ですね(笑)
全体的に、残酷な写真やアンハッピーな写真が多いですが、中には日本のものとは違う独特な景色をバックにした作品や、異国の町や暮らしのにおいが感じられる作品もあります。
写真はスプートニクより。チャド湖の環境汚染や干ばつ、それによる漁業の衰退や水不足の訴え。
世界情勢や国際関係に興味がなくても単純に写真として見ごたえがあり、アートやサブカルが好きな方であれば絶対に何か感じるものがあるはず。
③地球上で起こっているいろんなことがわかる
世界報道写真展の醍醐味って、やっぱりこれだと思います。
先ほど45作品が展示されていると書きましたが、それは現実に起こっている45の出来事が一度にして目に入るということ。
平和な日本ではわからないような暴動や、貧困や、紛争など、展示を見ることで改めて「今も世界のどこかで本当におこってるんやなぁ...」と実感させられます...
見たところで何かを変えられるという訳ではないですが、地球人として目を背けてはいけないこと、認識しておくべきことが少しでもわかるというか。
非道な話ですが、危険の及ぶ現地に近づくことは誰だって避けたいですし、外国語の記事を読んだりすることにも根気が伴うからこそ、日本でこういった機会があるのはすごく貴重です。
おまけ.女性フォトグラファ増⁈映える写真もあります
これは補足的なものですが(笑)
展示では女性受賞者による、色鮮やかで美しい写真を楽しむことができます。
今回は特に女性受賞者の作品が目立っているらしいのですが、なるほど展示の割合が昨年12%だったことに対し、今年は32%にまで上がっているとのこと!
実際、女性が撮影された写真は男性が撮影したそれと比べて、色彩が豊か!
多少加工でもしてあるのでしょうか(笑)逆に、男性の作品は武骨で力強く荒々しい感じです。
写真はスプートニクより。女性カメラマンの作品。セネガルのデザイナーがデザインしたドレスをまとって撮影にのぞむモデルの様子。
こういう場の作品を「きれーい」「映えそうー」なんて言っていいものかは疑問ですが、何の場面かわからなければ、純粋に写真集とかにありそうなワクワク感を感じてしまった...
実際に行ってきた感想・作品紹介
を引き続き書くつもりでいましたが、色んな人に見てほしくてオススメするあまり記事が長くなっていたみたいです...
なので、感想・印象に残った写真などを次回に回します。
社会問題とか、作品の特長とか、具体的にどんなんだったかの興味を持ってくださる方、薄っぺらーい凡人の感想になるとは思いますが、よろしければ引き続きお付き合い下されー!